暁と夕の詩

立原道造

暁と夕の詩書籍情報

底本:「立原道造全集 第1卷 詩集1[#「1」はローマ数字、1-13-21]」角川書店
   1971(昭和46)年6月20日初版発行
入力:八巻美恵
1997年9月11日公開

暁と夕の詩 10

立原道造

 ※(ローマ数字10、1-13-30) 朝やけ


昨夜の眠りの よごれた死骸の上に
腰をかけてゐるのは だれ?
その深い くらい瞳から 今また
僕の汲んでゐるものは 何ですか?

こんなにも 牢屋(ひとや)めいた部屋うちを
あんなに 御堂のやうに きらめかせ はためかせ
あの音楽はどこへ行つたか
あの形象(かたち)はどこへ過ぎたか

ああ そこには だれがゐるの?
むなしく 空しく 移る わが若さ!
僕はあなたを 待つてはをりやしない

それなのにぢつと それのベツトのはしに腰かけ
そこに見つめてゐるのは だれですか?
昨夜の眠りの秘密を 知つて 奪つたかのやうに